2017年6月1日木曜日│くりもやドクターコラム
歯なしの今昔ばなし
人間も生き物なので、食事ができないと大変なことになります。また、他の生き物と違うのは道具が使えることと、見た目を気にすることです。これは今も昔も変わりません。
では、昔の人は歯が抜けたときにどのようにしていたか、ごぞんじですか?
遡ること紀元前、人は抜けてしまった所に代用品を差し込むことを思いつきます。インカ帝国では水晶などの宝石を、アジアでは象牙や貝殻などを加工したものが埋め込まれた顎の骨が発見されています。現在では技術も材料も格段に進歩しており、インプラントとして確立された治療となっています。
一方、たくさんの歯が抜けてしまったら水晶や象牙を埋め込むだけでは間に合いません。抜けてしまった歯をまだ抜けていない歯に金の針金で固定した、現在でのブリッジのような治療は紀元前5世紀頃にはあったようです。
さらに、入れ歯のような治療は日本が古く、平安時代から行われていました。材料は「木」で、作っていたのは能面や仏像を作る木工職人でした。木の素材としての特徴を熟知しており細かい細工に慣れていたことと、徐々に仏像や面を彫る仕事が減ってきているサイドビジネスから専門職にする職人が生まれていたようです。
海外では金属に動物や自分の抜けた歯を固定し、バネで口の中で動かなくしていたようですが重さは1Kgを超える物もあったようです。
現在では素材も大きく変わり軽く薄く出来るようになりました。
ただ、いつの時代でも自分の歯で食べることが1番幸せであることに変わりはありません。歯周病に対する治療も進歩しており、歯医者さんに診て治療してもらうことで自分の歯を守れるのは現代だけの幸せをつかむチャンスです。今後の食事が幸せになるよう、1度診てもらってはいかがでしょうか?
芦田歯科医院
芦田 克仁