2015年10月1日木曜日 【くりもやドクターコラム】
子どもの歯の健康とスポーツ
小学生を対象に運動能力テストと咬合力状態との関係について調査したところ、運動能力が優れている人のほうが咬合力も大きいという傾向がありました。噛む力と運動能力とは深い関係があると言えます。
運動能力を十分に発揮するためにも、歯は大切なのですが、その基本はむし歯予防です。スポーツ時によく飲まれるスポーツ飲料には、汗で失うことの多い電解質のほか糖分も含まれていますので、むし歯予防のためには、摂り方に注意が必要になります。熱中症対策にも水分補給は大切ですが、歯のケアも忘れないようにしなければなりません。
保護者の予防意識の向上の結果として、むし歯は年々減少しています。滋賀県では、12歳児の一人平均う歯数は、平成25年度に1.0を切って以来、今では0.8に迫る勢いです。その一方で、子どもが歯を失う原因として、意外と多いのが、けがによるものです。特にスポーツ時に相手とぶつかったり、転んだり、スポーツ用具にぶつけたりといった事故によるものです。
では、歯・口のけがが起きたらどうしたらいいのでしょうか!?
抜けたり、折れたりした歯を乾燥させずに、いかに早く元に戻すかが重要になります。歯の根元の部分には触らずに、汚れている場合は、流水下30秒以内で洗って、歯の保存液もしくは牛乳に浸して、可能な限り、30分以内に歯科医院に行ってください。子どもが落ち着いていて、脱落した歯が清潔ならばその場で差し込んでも構いません。
学校での歯・口のけがには、災害共済給付金が支払われます。しかし、これは健康保険の範囲内での治療が対象となります。学校の登下校でのけがも対象となります。詳しくは学校に問い合わせていただくと詳しく説明していただけます。
歯と口のけがを防ぎ、障害を軽くするためにはどうすれば良いのでしょうか!?
マウスガードの利用が推奨されています。マウスガードを装着することで、接触時の衝撃が緩和され、歯が折れたり、抜けたりするような場合でも、ぐらつく程度に軽減できると言われています。マウスガードは、既製品やキットを使って自分で合わせるタイプがありますが、やはり、自分の口に合っていてこそ効力が発揮できますので、かかりつけ歯科医院に相談してください。
運動能力を十分に発揮できるようになるためにも、子どものころから歯を大切にすることがとても大切になります。そのためにも定期的にかかりつけ歯科医を受診されることをお勧めします。
はしもとファミリー歯科 橋本 健