2017年10月3日火曜日 【くりもやドクターコラム】
「ずっと噛んでいませんか?」
皆様は「歯は噛んでいて当たり前」と考えられているかもしれません。よく噛んで食事することは消化にもよく,勧められることです。では食事以外の時に上下の歯はどうなっているのでしょうか?
通常,上下の歯は何もしていない時は少しだけ離れています.ある報告では,一日24時間のうち,食事や会話で上下の歯が接触する時間を合計するとほんの20分程度とされています.ところが皆様の中には,日中の多くの時間,無意識に歯を接触させている人がいることがわかってきました。このような癖はTCHと呼ばれます。
TCHとはTooth Contacting Habitの略語で,日本語では歯列接触癖と訳されています.つまり,上下の歯を継続的に噛み合わせている癖のことです。噛む癖と言われると,歯ぎしりや食いしばりをイメージされる方が多いと思います。歯ぎしりや食いしばりは強い力でぐっと歯を噛み合わせているので歯や顎に対する負担が大きいことは容易に想像できると思います。一方で,TCHは上下の歯が軽く接触する程度の力でのかみ合わせも含んでいます。このほんの軽い力での接触でも歯の接触時間が長くなると,顎の筋肉の緊張や疲労が生じ,歯や歯茎にもストレスを与えるため,以下のような様々なトラブルを起こす可能性があることがわかっています。
TCHは,パソコンなど集中して作業をしている時,テレビを見ている時,家事をしている時など,日常でよくある行動をしている時に出てきます。TCHへの対応はまずは本人が意識することから始まります。ただし,TCHは無意識で行っていることが多いのでなかなか気づくことができません。そのために,パソコンやテレビ,冷蔵庫など目につくところにシールなどを貼っておき,それを見たら上下の歯が接触していないかどうかを確認し,接触していたら少しだけでいいので歯を離すということを繰り返すという方法があります。
気になられた方はかかりつけの歯科で相談されてはいかがでしょうか。
浅田歯科医院 園山 亘