2020年9月1日火曜日│くりもやドクターコラム
根面う蝕(しょく)
平成元年より厚生省(当時)と日本歯科医師会が推進してきた8020運動(80歳になっても20本以上自分の歯を保とう)の効果もあってか、高齢者における残存歯数が以前よりもかなり多くなっています。自分の歯で快適に食事をすることができる方が増えていることは、とても喜ばしいことです。
しかし、歯が多く残ることにより高齢者特有の問題が出てきていることも事実で、その一つとして根面う蝕があげられます。
根面う蝕とは歯の根元(歯根)にできるむし歯のことで、若い人には少なく、年齢が高くなるほど多くなります。
それは、長年にわたる歯周病、歯ぎしり・くいしばりによる影響や間違った強い歯磨きなどのために歯ぐきが下がり、歯の根元(歯根)がむきだしになっていくからです。
歯の根元(歯根)は歯の頭(歯冠)よりも構造的に柔らかいため、むし歯になりやすく、またその進行も早くなります。根の周り全体や歯ぐきの下の方までむし歯になり、治療が難しくなったり、手遅れで抜歯せざるを得ないこともあります。
加齢の影響または服用薬の副作用で唾液量が少なくなったり、寝たきりや手が不自由になり歯磨きがきちんとできなくなると、一気に多発的に根面う蝕ができ、進行していくこともあります。
さらに注意していただきたいのは、きれいなかぶせ物がしてある歯や歯の頭(歯冠)がむし歯もなくきれいでも、根元はむし歯になるリスクが高いということです。
根面う蝕また歯周病予防のために歯間ブラシなども使いながら歯の間、歯の根元を特に気をつけて歯磨きをしましょう。
また、根面う蝕に限らず、むし歯の予防として毎日のフッ素入り歯磨き粉の使用は不可欠です。
大きく歯の根元が露出してしまう前に定期的に歯科医院を受診して、むし歯、歯周病のチェックとともに歯磨き指導を受けることをお勧めします。
しもがさベリー歯科クリニック
長谷川 秀男